2026-11-03 ・ 集客・接客
忘年会の団体予約は、常連の夜を削る
人気のラーメン屋が、ある日だけ団体貸切で閉まっていたとします。
並ぶつもりで来た人は、張り紙を見て引き返す。一回なら「運が悪かった」で済みます。でも、それが毎週金曜に続くと、その人は金曜に来るのをやめる。そして、別の店を見つけます。
団体予約は、店の外からは見えない形で、いつもの客の習慣を書き換えます。
11月は、団体の問い合わせが増える
忘年会の二次会、会社の懇親会、友人グループの集まり。11月に入ると「10人くらいで遊べますか」「貸切できますか」という問い合わせが増えてくる店は多いと思います。
団体は、一度の予約でまとまった売上が立ちます。告知の手間もかからない。断る理由はあまりないように見えます。
ただ、団体が希望する日時は偏ります。金曜の夜、土曜の夜。つまり、いつもの大会がいちばん埋まる枠とほぼ重なります。
埋まっている卓を、外から埋め直している
団体を金曜の夜に入れると、何が起きるか。
いつもの大会の卓が減ります。席数が足りなくなって、常連が入れない回が出る。あるいは、大会はそのまま開くけれど、隣の卓で団体が盛り上がっていて、いつもの空気ではなくなる。
常連は、その場では何も言わないかもしれません。そのかわり「最近、金曜は落ち着かない」という印象を持ち帰ります。
売上の面でも、差し引きで見る必要があります。団体の売上から、その夜に来られなかった常連の分を引く。さらに、その常連が来なくなった翌週以降の分も引く。最後の部分は数字に出てこないので、見落とされます。
大会カレンダーは、埋めるほど客が減るで書いたのと同じで、枠を埋めること自体が、別の客を押し出していることがあります。
団体の客は、一人では戻ってこない
もうひとつ、団体の参加者がその後どうなるかです。
幹事に連れられて来た人の多くは、ポーカーもトーナメントも初めてです。その夜は楽しんで帰る。でも、次に自分一人で来るかというと、そう多くはないと思います。
一人で来た初心者は、金曜に来ないで書いた「誰かの連れ」の新規と同じ構造です。団体の場合は、それがまとめて10人単位で起きます。
だから団体は「新規獲得」として数えるより、「その夜の売上」として数えるほうが実態に近い。新規の入口として期待しすぎると、判断を誤ります。
受けるなら、枠の側を決めておく
団体を断れという話ではありません。受け方を先に決めておく、という話です。
たとえば、団体は平日か、休日の早い時間に案内する。金曜と土曜の夜は、いつもの大会を優先して、団体は空いている卓の範囲だけで受ける。貸切は、大会のない日に限る。
決めておけば、問い合わせが来たときに迷いません。「その日は定例の大会があるので、こちらの日はいかがですか」と、別の候補をすぐに出せます。団体の側も、日程が少しずれるくらいなら調整してくれることは珍しくありません。
問題になるのは、その場で判断するときです。目の前の予約は具体的で、失うかもしれない常連は抽象的です。比べると、たいてい予約のほうが勝ちます。
貸切でも、営業であることは変わらない
団体の受け入れで確認しておきたいのが、客層です。
貸切は店にとっては「身内の集まり」のように感じますが、法律上は通常の営業と変わりません。風営法第22条では、風俗営業を営む者に対して、18歳未満の者を客として立ち入らせることや、20歳未満の者に酒類やたばこを提供することを禁じています。
18歳未満の立ち入りについては、許可の種類で扱いが違います。第2条第1項第4号の営業では時間帯に関係なく禁止で、第5号の営業では午後10時から翌日午前6時までが禁止です。自分の店がどちらの許可で営業しているかによって、案内の仕方が変わります。
家族ぐるみの集まりや、学生を含むサークルの打ち上げのような問い合わせでは、予約の段階で年齢を確認しておく。当日の受付で断るより、予約時に伝えるほうが、お互いに気まずくありません。
団体の売上を、翌週の数字と並べる
団体を入れた夜が、本当に得だったのか。これは翌週以降を見ないとわかりません。
団体を入れた週の翌週、常連の参加回数が落ちていないか。団体で来た人のうち、一人で再来店した人がいたか。この二つを見れば、受け方が合っているかどうかが判断できます。
Casinohubのようなツールで参加者ごとの来店履歴が残っていれば、この比較は数字でできます。記憶に頼ると、団体の盛り上がりのほうが強く残って、静かに来なくなった常連は思い出されません。
12月本番の前、11月のうちに一度ルールを決めておく。その一手間で、年末の金曜がいつもの金曜のまま残ります。